法律事務家としては、その理由を言うべきだろうから考えてみる。
訴訟では当該寮の所有権が争われていたとのこと。ならば、その所有者を確定するのが裁判所の役目、一審、二審は台湾政府が所有者であることを認めたという。
ところが、最高裁でひっくり返った裁判が為された、その法的根拠は(新聞によると)◎台湾政府=中華民国→それが、中国全体を代表する正統な政府(国家)と1972年まで日本も世界も認めていたが、日中国交回復後、各条約によって正統政府は中華人民共和国となった。
原告(中華民国)は同国が唯一の中国を代表する政府(国家)と主張し、そのように原告名称を表示していたが、代表者が変わった時点で訴訟継続能力を喪失した。
それ故、その時点で訴訟は中断した。(そして20年の間、最高裁は何らの判断をしなかったという)提訴から40年経て、情実の理由で台湾政府は国家の代表者としての資格失った故、所有者ではないという結論である。
しかしながら、この訴訟が政治裁判ではなく民事訴訟である以上、根本的に間違っている。(司法は政治から独立していなければいけない→三権分立の原理)
物の所有権取得には
@原始所得(無主物を拾った場合など)
A承継取得(正当な売買で買った者)
B時効取得
とあるが、台湾政府は、前記Aにより光華寮の所有権を取得した筈。
ならば、裁判所としてはその所有権取得が法的に認められるか否かを判断すれば足り、それ以上の判断をすべき立場にない。これが訴訟の原則である。しかるに中華民国という国家(会社も同じこと)の代表者が変わったから、同国家(同会社)は訴訟能力を失ったという法解釈は政治的解釈であって裁判が為すべき法解釈ではない。国家(会社)の表示が変わったから、その権利を無とする?ならば、会社の名称、もしくは代表者が変わったからといってその会社の所有権を否定することになる。権利の主体が消滅したとか、台湾政府から中華人民共和国に権利が移転されたなら、最高裁判決も納得し得るが現実はそうではないだろう。
この点において、最高裁(一つの国の裁判所)が台湾という国を否定した重大な誤りを犯している。裁判所が為すべきでない、政治的判断を二つも為している。勉強不足の私にさえ、このところ最高裁に限らず裁判(判決)は少々おかしくなって来ていると感じる。それは、裁判官(司法の)独立という理念がおかしくなって来たからだと思われる他方、裁判の民主化も叫ばれて来ている。そのハザマにあって、司法本来の独立性がおかしくなって来たということである
分かり易くいうと、マスコミ(国民、世論を代表する?)の影響を受けてしまうようになったということである。
最高裁は下級審と違い、国家権力の影響を受ける。それは随分前からあったし、現にあることであるが、この判決はそれ以前に法解釈民事訴訟の原則からはずれている。
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